拷問の電気風呂

 

銭湯が大好きだ。

スーパー銭湯やスパ、温泉宿なんかも嫌いじゃないけど

費用対効果で鑑みて銭湯が一番コスパが良くて好き。

結果得られるチリンガウトがほぼ同じ。

 

押し並べて東京の銭湯は狭いのだが、

それも個人的には特に気にならない。

500円で足を伸ばして湯船に浸かれる。

それだけで十分心は満たされる。

 

家の近くの銭湯は私の好きな高温の風呂(43度くらい)で

もうしばらく浸かってると浸かった部位がエビ/カニのように

赤く茹で上がる。その時にジンジン血流が蠢めく感覚を

湯気で霞んだ時計を眺めながら黄昏るのが、とても良い。

 

湯上りで飲むオロナミンCスーパードライ、コーヒー牛乳。

 

 

 

地元の銭湯は小さいながらもサウナルームがあって

これがまたいい。水風呂とを2周すると整う。

 

15分ほど歩いた先の銭湯は

なんと狭いながらも露天風呂がある。

プラスチックの椅子が1個だけチョンと置いてあって

そこで涼むとまた気持ちいい。

 

 

さて、実はこの前引っ越したんだけど

引っ越し先がま〜湯船が狭くて

毎日シャワーになっているんだけど

この前の休みに疲れも取りたいし開拓しようと思って

最寄の銭湯に初めて行ってみた。

 

そこで私を待ち構えていたのは、

なかなか久しぶりにお目にかかる【電気風呂】だった。

本当、どこのどいつが思いついたんだかこの電気風呂。

湯船にエレキを通して筋肉繊維にダイレクトに作用する

こいつの刺激は、インターネット世代の私でも

なかなかクるものがある。拷問器具かよ。

ギターからアンプに信号を送っている時の

シールドの気持ちが、これに入るとよくわかる。

 

電気風呂はだいたい椅子のような形状の湯船の

両サイドに設置されているのだが、

そこにあえて横向きに座ってチンコに電気を流してみる実験、

通称「ちんちんビリビリ実験」は電気風呂経験者の男なら

誰しも通るところであろう。

 

 

 

普段なら入らないところだが、今回は開拓の意味を込めた

来店だったので意を決して入ることに。

 

チャポン

 

 

 

 

 

 

ビリリリリリリリリリリイリリリリリリリ!!!!

 

 

 

今まで経験したことのない強烈な電流が、

私の太もも〜脇腹を襲った。

電気風呂は収縮と緩和を繰り返すような感じなのだが、

今回のそれは収縮の時間がとてつもなく長かった。

 

「はあ!フォエア!!」

謎の掛け声が漏れる。筋肉縮みあがり過ぎて息ができない。

ちょうど先日Netflixでナルコス〜メキシコ編〜の

拷問のシーンを見たのだが、「もう、それやん」ってなもんだった。

 

極め付けがその電気風呂にかかっている私の視界の先、

ケロリンの黄色い椅子に座って体を洗っているその男の背中には、

歌川広重が描いたかのような荒々しく立派な鯉の刺青があったのだ。

 

加減を知らぬ電気風呂、悶絶する筆者

鯉の刺青の入った男、立ち込める湯気

それらはちょっと任侠映画のワンシーンのようだった。

 

この銭湯こええええ。でも俺は、

絶対クチを割らないからな!!!!!

ぜってぇ諦めねぇかんな!!!!

 

 

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結果、私がクチを割ることはなかった。

仁義を貫き、ロビーでちょっとテレビを見て帰った。