ディスコミュニケーション状態

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ディスコミュニケーション状態。

皆さんも一度や二度、陥ったことはあるでしょう。

 

先日リビングでのこと。

「明日の何時にあがるの?」と尋ねるルームメイト。

 

私「明日?まあわかんないけど22時半から23時くらいかな」

 

「は?今、洗濯の話してんだけど」

 

こういうやつ。

仕事からあがる(退勤する)と

洗濯物があがる(仕上がる)の相互不理解。

こういうのは概ね主語が抜けてたりして

お互い誤解しちゃうみたいなことだから解決は簡単だが、

相手によってはもうどうしようもないくらい

ディスコミュニケーション状態に陥ってしまうことがある。

 

例1

エレベーターの中でのこと。

ヨレヨレの服を何枚も重ね着したシワシワの老婆2人が乗ってきた。

老婆A「あらアンタ、ちゃんとこれしないとダメよ(マスクをさしながら)」

老婆B「あら、そうね(顎にかかっていたマスクをつけ直す)」

そして老婆Bは背後にいる私の方へ振り返り、こう言った。

老婆B「ユー!マスク!オーケー!?」

 

私「…は?」

 

老婆B「マスク!マスク!つける!オーケー!?ね!?」

この老婆は色白で丸淵のメガネをかけた私を

韓国人だか中国人だかと勘違いしていたのだ。

もう英単語をカタカナで羅列してるだけのしょぼいコミュニケーションを

事もあろうに私に挑んできやがった。

別に中国人/韓国人と間違われたのはどうでもいい。

(昔築地の寿司屋で「Would you like something drink?」と言われた事もある)

ただ今、このエレベーターという密室で外国人(のような私)に「マスクをつけなよ」と

浅い進言をしているのがもうとにかく腹が立った。

ベランダで吊るして干物にしてやろうかと思った。ベランダないけど。

老婆B「あれよ。あれ!ポ、ポロリ…」

私「(コロナだろうが…!!!)」

 

これは相手がとにかく一方的に誤解をしているパターン。

そしてこちらとしても関わりたくなくて特に訂正をする気にもならない。

このコミュニケーションは1ミリも前進することなく解散した。

「絶句する」とはまさにことのと。もうほんと、二度と会いたくない婆さんだった。

 

 

 

 

 

もう一つ。半年前くらいのこと。

その前にディスコミュニケーションに陥る要因について。

一つは「主語の不在による誤解」は先に話しましたね。

「洗濯物」という単語が抜けていたことで「あがる」というのを

「仕事」と勘違いしてしまうパターン。

これしかも難しいのが「あがる」という言葉に多くの意味が

含まれているのだ。

もしかしたら唐揚げのことかもしれないし、

太陽のことかもしれない。プールから出るのかもしれない。

バイブス高まったかもしれない。

 

老婆Bが繰り出したのディスコミュニケーションは私が頑張らなかったから

まあ特殊な事例。

 

ちなみに主語があってもディスコミュニケーションに陥ることがある。

これも特殊な事例だと思う。

これはとある夏の夜、日本人男性と中国人女性とのやり取りだった。

想像して欲しいのでその会話になるまでの経緯を全て割愛する。

とある夏の、日本人男性と中国人女性の夜の室内での話。

彼女はこう言った。

 

 

 

「はああああ〜!エッチしたいわあ〜ん」

         名詞

 

深いため息のような声を漏らしつつ彼女はこう言った。

それを聞いた男は驚いて笑う。そして鼻の下を伸ばしながら

「ええ?じゃあ、エッチしようよ〜」と返した。

             名詞

 

この後どういう展開を想像するだろう。

「エッチしたいわあ」と言う女性に対して

「じゃあエッチしようよ」と言う男性。

この後どういう展開になると思う?

思うまでもないし、考えるまでもないだろう。

誰もがそう思っていた。

彼女は私のセリフを受けてこう返してきたのだ。

 

 

 

「はあああああ〜

エッチしたいわあ〜〜〜(2回目)」

 名詞

 

 

「(え?なんで?)」

 

疑問に満ち満ちたアンサーだった。

行動でも次に進むセリフでもなく、彼女はなぜか

同じセリフを2回言ったのだ。

日本人男性はいつもより強めにまばたきをしてもう一度言った。

 

 

「ええ?じゃあ、エッチしようよ〜(2回目)」

             名詞

 

 

彼女は答える。

 

 

「はあああああ〜

エッチしたいわあ〜〜〜(3回目)」

 名詞

 

簡単に諦めるな。心の中の松岡修造が男の背中を押す。

 

「じゃあ、、、エッチしようよ〜(3回目)」

             名詞

「 じゃあ」と「エッチ」の間に少しインターバルを置いてみた。

使っている文字は同じでも言い方次第で伝わり方が変わることはよくあることだ。

 

 

エッチしたいわあ〜(4回目)」

        名詞

 

完全にディスコミュニケーションである。

Re:ゼロから始める異世界生活」のようだった。ループから抜けられない。

でも「Re:ゼロから始める異世界生活」と一つ違うのは

この押し問答はちょっと楽しいということだった。

 

男は呆れながらも言った。

 

「だからあ〜!エッチしようよ!!」

           名詞

強い意志を示した。

 

 

「いやあ〜エッチしたいわあ〜(5回目)」

                名詞

 

 

いつこのループから抜け出せるんだろう。

昔誰かが言っていた。押してダメなら引いてみな。

男は逆にちょっと引いてみることにした。

 

「エッチしたいね〜」

 

エッチしたいわあ〜(6回目)」

        名詞

 

 

女の身支度を待てないような男にはなるまいと思ってはいたが、

もう我慢ができなかった。

檻から解き放たれた夏の獣を止めることなど、誰にもできないのだ。

 

男は女との間(物理的距離)を詰めて言った。

「いやだからさ、今エッチしようよ!」

 

 

 

女はこう言った。

 

 

「エ〜〜ダメダヨ〜〜!!!!!!!」

 

 

 

なんでだよ!!!!

今までのやり取りなんだったんだよ。

中国人女性とはそれっきりである。

 

このディスコミュニケーションは本当に歯がゆいものだった。

名詞があってディスコミュニケーションに陥るといえば

「企画」と「規格」とか「用意」と「容易」とか

そういう同音異義語でよく起こることなのに

エッチという揺るぎない名詞を前にして

このディスコミュニケーションっぷりは

かつてない不思議な感覚に男を誘った。